福井県 水晶浜の高温石英

水晶浜の砂を寄贈いただきました！観察してみると高温水晶の形態がよくわかります。

高温水晶は、熔融マグマ中で成長し、常圧下では573℃以上で安定し、それ以下の温度では低温水晶に転移します。

一般的に「水晶」と呼ばれるのは低温水晶で、先端が尖った六角柱形や両錐形が特徴です。一方、高温水晶は柱面がほとんどなく、そろばんの玉のような形状が特徴です。

 

高温水晶も冷却されると低温水晶に結晶構造が転移しますが、形状は柱面のない高温水晶の特徴を残すため「高温水晶仮晶」に分類されます。

 

さて、敦賀市の敦賀半島の西側に位置する水晶浜は北陸地方で最も美しい海水浴場の一つとされており、白い砂浜と澄んだ海で知られています。

この美しい白砂浜は、どのようにして形成されたのでしょうか？

その秘密は「花崗岩（かこうがん）」にあります。

 

岩石の分類

まず、岩石は主に以下の三種類に分類されます

• 堆積岩（たいせきがん）
  川から削られた砂や土が海の底に積もり、長い年月と高い圧力のもとで固まって形成される岩石です。例えば、砂岩や石灰岩などが該当します。

• 火成岩（かせいがん）
  地下深くのマグマが冷えて固まった岩石です。火山活動に関連する岩石で、地表で急速に冷えた火山岩（玄武岩など）や、地下深くでゆっくり冷えた深成岩（花崗岩など）があります。

• 変成岩（へんせいがん）
  既存の岩石が高温や高圧にさらされ、鉱物の組成や構造が変化することで形成される岩石です。例えば、石灰岩が変成してできる大理石や、粘土岩が変成してできる片岩などがあります。

 

花崗岩と水晶浜の形成

 

水晶浜の砂浜の形成に関連するのは、敦賀半島全体を構成する花崗岩です。

花崗岩は、火成岩の一種で、地下深くのマグマが長い時間をかけてゆっくりと冷え固まることで、大きな鉱物結晶が育つことが特徴です。

この結晶には、白っぽい石英や長石が多く含まれており、黒っぽい部分は軽くて薄く剥がれる黒雲母が含まれています。

 

風化による岩石の変化

敦賀半島の花崗岩は、時間とともに風化していきます。風化には大きく二つの種類があります。

• 物理的風化
  波や風で削られたり、気温の変化によって岩が膨張・収縮を繰り返し、割れて崩れていくことを指します。特に、日本海側では、夏の暑さと冬の厳しい寒さの影響で花崗岩がポロポロと崩れやすくなります。

• 化学的風化
  鉱物が水や空気中の二酸化炭素と反応して分解することです。例えば、石灰岩が溶解して鍾乳洞を形成するような現象です。花崗岩に含まれる鉱物も化学的風化により影響を受けます。

 

花崗岩の特徴と水晶浜の白砂

 

花崗岩の結晶粒子は他の火成岩に比べて大きく、またその成分である石英、長石、黒雲母はそれぞれ異なる熱膨張率を持っています。特に、温度変化が激しい環境では、鉱物粒子間の結合が弱まり、表面が風化しやすくなります。敦賀半島のような場所では、こうした風化の影響が顕著です。

 

風化の過程で、まずは長石や黒雲母が先に分解され、細かくなって海に流れ出してしまいます。一方で、石英は風化しにくく、長石や黒雲母が失われた後にも残ります。この石英が、やがて白い砂として浜に堆積し、水晶浜の美しい砂浜を形成するのです。

 

このようにして、水晶浜の白砂は、時間をかけた自然の力と敦賀半島の花崗岩が持つ特性から生まれたものです。