スモーキークォーツと放射線について

スモーキークォーツの茶色〜黒色の原因は、実は放射線です。

「放射線って…被曝して危ないのでは？」とお考えの方もいるかもしれません。

では早速説明しましょう。

 

水晶の成分は二酸化ケイ素です。
ところが、地中で育つ間にこのケイ素の一部がアルミニウムに置き換わっている水晶もあります。

 

ケイ素とアルミニウムでは持っている電子の数が違うので、その食い違いをなんとかしようと電子が動き、そこに自然界の放射線があたったことで、光を吸収する仕組み（カラーセンター）ができます。

このカラーセンターにより、通り抜ける光の一部が吸収されてしまうので、透明でちょっと茶色っぽいスモーキーの色合いになっているんですね。
スモーキーを加熱すると、再度電子のバランスが変わって色が消えることがあります。

 

スモーキーはたいてい花崗岩の中から見つかります。

その花崗岩の中には、微量の放射線鉱物が含まれていてることがあります。

自然界ではその放射線によりスモーキーの色味に変化するのです。

 

人為的に色加工する場合は、クォーツを掘り出してから放射線を当てています。

放射線で色を変える宝石では、照射してスモーキーにするガンマ線よりも強い中性子線を用いるブルートパーズなどが有名です。

自然界で放射線を受けるか、人為的に放射線を当てるかによって市場価値は異なりますが、その話はまた別の機会に。

 

では、放射線を浴びたスモーキークォーツを持っていた場合には被爆しないのでしょうか？

放射線を「帯びる」というのは、放射線を発する物質が付着したり、内部にはいってしまったから起こるものです。

水晶のようなものには、放射性物質が入り込む隙間はないですし、照射する際に水晶に当てられるのは放射線であって、放射性物質そのものではありません。

万が一クォーツに放射性物質が入り込むようなことをしていたら、それこそ「放射能漏れ」ですので、クォーツよりも加工工場そのものが大変なことになってしまいます。

放射線があたったからと言って、クォーツが放射線を発する物質に変化することもあり得ません。

（水晶が天然の放射性鉱物を内包していると、まれに放射線を帯びることがありますが、たいていはごく弱いものです）

 

自然界の鉱物はさまざまな要因でその色味になっています

地球の内部でのでき方を知るのもまた面白いですね。